現地27日、ドジャースがレイズを3対1で下し、88年以来となる32年ぶり、7度目のワールドシリーズ制覇を果たした。1勝1敗からドジャースが2連勝した展開は見どころたっぷりだったが、最終的にスピードとパワー、層の厚い投手力でドジャースが圧倒した形だ。さらに新型コロナウイルスの大流行によりシーズンの開幕が遅れ、レギュラーシーズンが60試合に短縮されたうえ、最後の舞台が中立地のグローブライフ・フィールドとなったことも感慨深い。最終戦の途中でジャスティン・ターナー内野手が新型コロナウイルスの検査で陽性が判明し、途中交代となりながら、試合終了後チームの記念撮影に参加したことで物議をかもすことになったのは少し余計だったが。

ただその一方で振るわなかったのがテレビ中継だ。優勝が決まったこの日、第6戦の全米視聴者数は1030万人で、18~49歳での視聴率は2.7となっている。これは昨年10月29日に行われたナショナルズとアストロズの第6戦より34パーセントも少ないのである。10月30日の第7戦からは55パーセント減だ。

それだけではない。視聴者数においては第1戦の920万人に始まり、今回最も少なかった第3戦の816万人など、第6戦まで全ての試合がその試合数におけるワールドシリーズ史上最少を記録し続けることとなったのだ。

どうしてこのような結果となったのか。まず挙げられるのがコロナ禍によってプロスポーツが「密」になったことだろう。アメリカでは3月に感染が拡大するとほぼ全てのスポーツが停止に追い込まれた。その後7月ごろから一斉に再開へと動いたのである。そのためMLBだけでなく、プロバスケットボールNBA、プロアイスホッケーNHL、プロアメリカンフットボールNFLという4大プロスポーツが同時期に開催されるという例年では考えられないことが起こった。さらにテニスやゴルフの全米オープンまで重なる事態に。これによりスポーツファン、視聴者の奪い合いが起こっているのだ。その結果、MLBのみならずいずれのスポーツでも視聴者数が激減しているのである。前年減少比ではNBAのプレーオフが37パーセント、NHLが38パーセント、テニスの全米オープンが45パーセント、全米オープンゴルフが42パーセントとなっており、一様に減っていることがわかる。コロナ禍がこんなところにもといった感じだ。

一方で大統領選挙の影響も挙げられている。大統領選挙への関心が高まると、ニュースや討論会の視聴者が増え、スポーツ中継に影響を与えるというものだ。ただ今回は最後の討論会が行われた22日には試合が行われておらず、前回選挙のあった2016年のワールドシリーズの視聴者数は前年より多かったことを見ると、この要素は限定的かもしれない。

来シーズンがどんな形になるかまだ不透明だが、MLBとスポーツが平常に戻ることを祈るばかりだ。