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巨人、西武が提案 キーワードは“体験” 未来を開く「親会社×スポーツビジネス」 - スポーツナビ

バックネット裏に広がる贅沢な空間

選手の声やミットに収まる捕球音など、観客が限られる中だからこその臨場感が楽しめる今シーズン

選手の声やミットに収まる捕球音など、観客が限られる中だからこその臨場感が楽しめる今シーズン【写真は共同】

 無観客試合で開催された東京ドームのバックネット裏の“席”には、贅沢(ぜいたく)な空間が広がっていった。

 巨人の先発・戸郷翔征が独特のフォームから思い切り腕を振ると、広島の主砲・鈴木誠也に150キロ前後の速球が鋭い角度で投げ込まれていく。外角に投じられたフォークは、フォーシームのような軌道から突然ストンと沈んだ。ネット裏の視点で見るからこそ、1球1球をド迫力で感じられる。

 広島の先発左腕クリス・ジョンソンに3アウトを取られると、「よっしゃ、守備だ!」という声が巨人ベンチから聞こえてきた。まるで巨人の選手たちと一緒に試合を見ているような気分になる。

 これらはすべて、“バーチャルビューチケット”で観戦した際の感想だ。新型コロナウイルスの影響で今季のプロ野球が開幕から1カ月近く無観客で行われることになり、巨人は生配信視聴専用アプリ「FanStream」を通じて、6月19日から7月5日の12試合を東京ドームのバックネット裏などの定点カメラからライブ配信した。

「コロナの大変な状況をファンとともに乗り越えていきたいという思いを込め、『WITH FANS』プロジェクトが発足されました。その中で巨人軍とファンがコミュニケーションをどうやってとっていくか。実際に球場に足を運んでいただけないなかで、どうしたらよりアクティブに観戦を楽しんでいただけるかを考えました」

 そう説明したのは、主催者の立場で各種ファンサービスの企画、運営を担当している読売新聞東京本社事業局野球事業部の金沢悠氏だ。FanStreamでのライブ配信が企画されたのは4月。開幕まで約2カ月しかないなか、どの位置にカメラを置くかなど何度もテストを重ねて実現にこぎつけた。

 このアプリが面白いのは、迫力ある映像だけではない。毎試合2000人以上のファンが同時視聴し、それぞれアバターに扮(ふん)してオレンジタオルを回すなどアクションを行うことができる。

 試合を見ながらキャッチャーの炭谷銀仁朗が奏でた捕球音に酔いしれていると、「ドームのスピーカー、生で聴きたいわ」というファンのコメントに思わずうなずかされた。スマホの画面を眺めているのに、球場にいるかの気分だ。テレビやインターネットによる「観戦」とは違う、新たな「体験」を楽しむことができる。

「ユーザーのアンケート結果によると、テレビ中継とアプリを並行して視聴している方が多いことが分かりました。テレビ中継は試合の模様やひとつひとつのプレーを追うためにご覧になり、アプリでは観戦の中での興奮や落胆などの感情を視聴者同士が発信し、共感したりシェアするために使っているのではないかと感じています」(金沢氏)

「リアルとバーチャルは対極にあるものではない」

開幕の6月19日〜7月5日の東京ドーム12試合で行われた参加型ライブ配信サービス“バーチャルビューチケット”

開幕の6月19日〜7月5日の東京ドーム12試合で行われた参加型ライブ配信サービス“バーチャルビューチケット”【写真提供:読売巨人軍】

 五輪イヤーに沸き立つはずだった2020年。新型コロナウイルスの感染拡大で人と人の接触が大幅に制限され、スポーツの興行は大打撃を受けている。

 近年、人々の消費傾向がモノからコトへとシフトするなか、とりわけ日本ではスタジアムビジネスが成功の波に乗った。好調な観客動員に支えられてプロ野球やJリーグ、Bリーグは人気を拡大し、さらに19年のラグビーW杯が大成功に終わった。

 各スポーツ団体に追い風が吹いていたなか、コロナウイルスの影響で今後数年、スタジアムは入場制限を受けると予想される。この苦境を各団体はどのように乗り越えていくのだろうか。

 次々と独自企画を発表したのが、6月19日に先陣を切って開幕したプロ野球だった。各球団の取り組みを見ていると、“経営体力”という意味でその底力を改めて感じさせられる。

 15年ほど前までプロ野球は親会社の宣伝広告という意味合いが強く、赤字経営が当たり前だった。親会社が球団の赤字を補填(ほてん)するという日本型の経営モデルは、04年に楽天が球界参入してから大きく変わる。スポーツビジネスの波が到来したのだ。

 そうしてプロ野球は観客動員数を右肩上がりに伸ばし、迎えた20年。誰も予期しなかったコロナショックにより、各球団は新たな局面を迎えた。近年の人気を支えてきたスタジアムビジネスが大打撃を受けるなか、「親会社×スポーツビジネス」によるハイブリッドな経営を強く模索し始めたのである。

 例えば冒頭で紹介した巨人には、「球界の盟主」のプライドを感じさせられる。「FanStream」の配信は、トライアルながらすべて無料で行われた。インターフェースなど改善点は多いというが、2カ月という短期間でこれほどのクオリティーに仕上げるのは巨人の底力と言える。

「ファンサービスという観点でスタートしましたが、反響を見ながら事業化していく可能性も探りたいと思っています。実際にこの企画を行い、リアルとバーチャルは対極にあるものではなく、どんどん融合していく可能性を感じました。ファンの方は球場か、バーチャルかと線引きしているわけではなく、自分たちがより楽しい観戦体験を自然に選んでいる感じがします」(金沢氏)

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July 22, 2020 at 09:00AM
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