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1次産業政策 競争一辺倒でいいのか:北海道新聞 どうしん電子版 - 北海道新聞

 7年8カ月に及んだ安倍晋三前政権で、農林水産業は常に規制改革の標的にされた。

 菅義偉首相は官房長官として、地域農協との分断につながるJA全中の一般社団法人化などを進めた。首相就任会見では、競争導入で農水産物の年間輸出額が「9千億円まで伸びた」と強調した。

 酪農など国の支援事業で大規模化、集約化が進む分野もある。だが、多くの現場は生産者人口の減少と高齢化で疲弊している。

 新型コロナ禍で世界的に需要が減退し、「25年に2兆円」とした輸出目標の達成も厳しい。

 規制緩和で企業などの新規参入を進め、高く売れる農水産物の輸出を拡大するという成長シナリオは事実上頓挫したといえる。

 立ち止まり、国内の生産基盤強化に軸足を移すべきだ。

 次の国会では種苗法改正案が審議される見通しだ。道産米ゆめぴりかなど登録品種の不正な海外持ち出し禁止が主な狙いで、それ自体は知的財産保護にかなう。

 だが、国内農家が登録品種から種や苗を育てた「自家増殖」も許可が必要となり、許諾料の負担が生じるとの懸念は消えない。

 安倍政権は2年前、コメなどの種子開発を都道府県に義務付けた主要農作物種子法を廃止した。新たな法律で、その研究成果を民間へ提供するよう促していた。

 これでは、従来は「公のもの」だった在来種を基に、多国籍企業などが新品種に育成して登録すれば、独り占めできてしまう。

 国有林では今春の改正法施行で最長50年間、企業に対し大規模に伐採・販売する権利を与えた。

 12月施行の改正漁業法は、資源保護のため漁獲上限を設ける魚種を漁獲量全体の8割に拡大する。

 追加検討の15魚種には、道内の漁協が自主規制で資源を増やしてきたホッケも含まれる。一方で漁協などへの漁業権優先割り当てを廃止し、企業への開放を強める。

 気がかりなのは、一連の政策がすべて、規制改革推進会議や未来投資会議など官邸の意を体した有識者会議から発信されたことだ。

 人口減で国内市場が縮小する中、自動車や電機のように「日本の食」を輸出産業化する考えだ。

 だが、コロナ禍に直面し、ロシアなどは一時、輸出規制を強化して自国の食料確保を優先した。

 日本は昨年度の食料自給率がカロリーベースで38%にすぎない。輸出増よりも安定的な国内供給が先だろう。過度な競争で、現場がつぶし合う余裕はないはずだ。

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September 22, 2020 at 02:35AM
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