NTTとNECが資本提携し、第5世代(5G)移動通信システムの通信技術の共同開発を推進するのは通信インフラのグローバル競争で失地回復を図るのが狙いだ。米中対立によって、トップシェアの中国の華為技術(ファーウェイ)を排除する動きがあることをとらえ、ゲームチェンジを仕掛ける考えだが、大きく開いた差を埋めるのは容易ではない。
「両社が中心となったオープンな開発で競争優位性を十分に出せると思う」。NTTの澤田純社長は25日の記者会見で巻き返しに向けた意気込みを語った。
5Gは自動運転や遠隔医療、スマート工場などを実現し、生活や産業構造を一変させる通信基盤だ。各国が国を挙げて技術開発を競い合うが、日本では5Gの商用サービスのスタートで米国や韓国に約1年先行を許すなど、国際的な劣勢は否めない。なかでも、とくに劣勢が鮮明なのは基地局などのインフラ分野だ。
2018年の基地局のシェアで、日本勢はNECと富士通がともに1%未満。日本勢に存在感がない理由について、総務省幹部は「グローバル化に向けた投資や人材育成が十分ではなかった」ことを挙げる。こうした中、米トランプ政権が機密情報の流出など安全保障上の問題で、ファーウェイ製品排除の動きを強めていることが、形勢逆転の好機になっている。
NTTとNECは、基地局を1社でそろえるのではなく、多様な企業から調達可能にする「オープン化」の仕様に対応した製品の開発や、光技術を取り込んだ通信ネットワーク「IOWN(アイオン)」構想などで協業する。4Gまでの高速大容量化の深掘りだけでは競争は難しいが、両社の経営資源を集中し、省エネやセキュリティーといった両社が強みを持つ技術を生かした開発を進めれば、5G以降で劣勢を覆せるとみる。
「基地局で2割の世界トップシェアを目指したい」とNECの新野隆社長は強気な目標を示した。政府も次世代の6Gではシェア3割を目標に財政支援や税制優遇など10年後を見据えた支援策を推進する方針だ。もっとも「世界トップにここまで引き離されたのに今から挽回できるのか」(関係者)と懐疑的な声もある。(万福博之)
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June 26, 2020 at 05:06AM
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