価格重視の米国消費者は、今年のブラックフライデーでは割引の多いeコマースを利用 - グノシー

ブラックフライデーとサイバーマンデーのショッピング熱が終わり、小売業者やブランドの業績が徐々に判明しているなかで、明らかなことがひとつある。それは、ブラックフライデーを支配したのはeコマースだったということだ。

米国のサイバーマンデーに1.8兆円を牽引したeコマース

Glossyがアドビ（Adobe）から得たデータによると、サイバーマンデーに米国の消費者は総額120億ドル（約1.8兆円）以上を支出した。アフターペイ（Afterpay）のデータでは、ブラックフライデーからサイバーマンデーまでの週末における購入客の平均的な支出額は、オンラインショッピングでは対面ショッピングの3.9倍で、オンラインは店舗に比べて平均2倍の割引率（28〜14％）だったという。また、ショッピファイ（Shopify）加盟店はブラックフライデーからサイバーマンデーまでの売上高が93億ドル（約1.4兆円）という記録的な数字を報告している。これは前年比24％の増加である。

注目すべきは、サイバーウィーク中のeコマースの売上のほぼ60％がモバイルデバイスで完了している点で、昨年の55％から増加している。

消費者需要に影響を及ぼす割引

eコマースチャネルの売上高の増加の一要因には、長引くインフレの影響により顧客の価格に対する意識が高まったことがある。買い物客は自分の支出習慣に対してさらに慎重になっているため、オンラインショッピングは異なる価格を調べてより良い購入を見つけるための優れた方法を提供している。

アドビ・デジタル・インサイツ（Adobe Digital Insights）の主任アナリスト、ビベック・パンディア氏は「消費者が生活のさまざまな面でのコスト上昇に対処して、支出をサービスに移しているため、2023年の年末商戦の始めには不確実性が多かった」と述べている。

アドビはホリデーシーズン中のショッピングトレンドを追跡している。消費者はすでに1090億ドル（約16兆円）を支出しており、アドビは12月31日までのシーズン全体でホリデー支出が2000億ドル（約30兆円）を超えると予想している。これは昨年比7％の増加であり、割引は人々を節約モードから誘い出すのに十分だったことが示されている。アドビは、今年のeコマースの価格は6％下がったと述べている。

「サイバーウィーク全体の記録的なオンライン支出により、特に衝動買いを多く推進した高品質の製品に関して、割引が消費者需要に影響を及ぼす可能性が示されている」とパンディア氏は語っている。

後払い（BNPL）決済の利用も増加

アフターペイは、今シーズン、いま購入して後で払う（BNPL）決済方法を利用する顧客が増えたため、サイバーマンデーに完了した取引件数が7000万件を超え、前年比で14％増加したと述べている。アドビも同じトレンドを観察しており、今シーズンはBNPLの利用が42％増加したことを挙げた。

小売業者はオムニチャネルアプローチを強化すべき

「消費者がクレジットカード以外でもっともお得な購入やさらに多くの選択肢を求めて購買力を行使するにつれて、eコマースに対する支出は引き続き加速している」と語るのは、アフターペイの収益責任者、アレックス・フィッシャー氏だ。「ショッピングアプリのような新興デジタルチャネルも登場しており、ホリデーシーズンの買い物客の注目を集めている。だが、それらは店内体験に完全に取って代わるものではないため、小売業者は、販売場所に関係なく、自社製品やセールの宣伝で先んじるためにモバイルコマース戦略を確立するなど、バランスの取れたオムニチャネルアプローチを見つける必要がある」。

スキンケアブランド、リセス（Recess）の創業者兼CEOで、マーケティングコンサルタント会社、ザ・スプラウトコレクティブ（The Sprout Collective）の創業者でもあるジャッキー・スタウファー氏は、消費者が割引に注目しているためにD2Cブランドやeコマースが実店舗よりも好まれていると述べた。

「消費者は価格にさらに敏感になっている」とスタウファー氏。「割引は支出を促す。それに、小売に大きく依存しているブランドに比べて、オンラインブランドやD2Cブランドが割引をコントロールするのは、はるかに簡単だ」。

［原文：Price-conscious consumers embraced e-commerce this Black Friday］

DANNY PARISI（翻訳：ぬえよしこ、編集：山岸祐加子）

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