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全国の旅行割引先送り 夏休み直前…観光地ため息 「ずっと辛酸なめさせられている」 - 西日本新聞

 新型コロナウイルスの感染拡大で、全国を対象にした旅行割引のスタートが先送りとなった。夏の書き入れ時を前に期待が高まっていた観光地や旅行業界からはため息が聞こえ、さらなる感染拡大による影響を不安視する声も。旅行を心待ちにする人は多く、専門家は感染リスクの高い場面を避けるなど適切な“自衛”を呼びかけている。

 「いよいよ夏の観光シーズン到来というタイミングなのに…」。熊本県南小国町の黒川温泉街で旅館「奥の湯」を営む音成貴道社長(52)は、最大8千円が割り引かれる政府の「全国旅行支援」の延期を残念がる。「支援策が始まったら予約するという遠方のお客もいた。客足がまた遠のいてしまわないか」と不安を隠せない。

 大分県別府市では、これまでの県民割やブロック割に一定の効果が見られたが、九州外からの動きはまだ鈍いという。旅館ホテル組合連合会の冨来昌博事務局長は「支援策に期待していたが、感染者が急増している状況では仕方がない」。

 政府は県民割への補助は8月末まで続ける方針。ただ、九州各県で感染者数が過去最多を更新する状況が続けば先行きは不透明だ。熊本県山鹿市の平山温泉にある旅館「一木一草」の吉川哲也副社長(55)は「ようやくコロナ前の水準近くまで客足が戻ってきたところ。無理に支援を全国に拡大して状況を悪化させるよりは一度仕切り直したほうがいい」と理解を示す。

 各地では引き続き九州内からの集客に力を入れるが、コロナの感染拡大だけでなく、ロシアのウクライナ侵攻に端を発する物価高も悩みの種だ。福岡県太宰府市の太宰府天満宮参道で雑貨店「きまぐれな工房 Dai」を営む大坪悦子さん(70)は「全国旅行支援が始まっていたとしても、客の財布のひもは固いままなので、あまり期待はしていなかった。観光地はずっと辛酸をなめさせられている」とため息をついた。

 感染対策と経済活動の両立は大きな課題。旅行では何に気を付ければいいのだろうか。国際医療福祉大の和田耕治教授(公衆衛生学)は「家族単位で観光地に行くだけならばリスクは低いが、感染しやすいのは飲食や人と会話をする場面。多くの人に会う帰省には注意が必要で、重症化リスクが高い高齢者や妊婦は特に感染対策に気を付けるべきだ。感染を広げないよう旅行前の検査も積極的に受けてほしい」と話した。 (村田直隆、丹村智子、平峰麻由)

交通事業者「旅行の需要下がらないのでは」

 全国旅行支援の延期を受け、交通事業者の間では懸念の声が広がる一方、冷静な受け止めも聞かれた。

 JR九州によると、現段階では新幹線などの鉄道利用に「大きな変化はない」という。中堅航空会社スターフライヤー(北九州市)も「感染拡大に伴う行動制限はなく、すぐに影響は出ないだろう」(広報担当者)とみる。だが、これまでも感染状況が利用者数に大きく影響してきただけに、両社とも「状況は注視している」という。

 ある航空会社では、予約に関する問い合わせが増え、変更も出始めている。担当者は「夏合宿などを予定する団体客が出発時期の変更を希望したり、感染リスクを抑えるために参加者を減らしたりする動きがある」と指摘。さらに「感染状況次第で団体旅行は鈍化する可能性がある」と懸念する。

 JTBが6月下旬に実施した調査によると、今年7月15日~8月31日の国内旅行者数は、前年比75・0%増の約7千万人に上ると見込まれていた。調査では「需要喚起策が利用できないなら旅行しない」と回答した割合が3%を下回っていたことから、広報担当者は「県民割は継続しており、需要は案外下がらないのでは」と話した。 (山本諒、古川剛光)

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