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スポーツビジネスはこの半年で根底から覆された。大混乱のなか、メディア企業はチャンスをつかもうと競い合っている。
大手パブリッシャーであるペンスキー・メディア(Penske Media)が立ち上げたスポーツビジネスにフォーカスするメディア、スポーティコ(Sportico)は記者を1人も雇っていない段階で立ち上げ時期を3カ月繰り上げた。2014年、CEOのアダム・ホワイト氏がマイアミ大学の1年生だったときに立ち上げたデジタルネイティブスポーツビジネスサイト、フロント・オフィス・スポーツ(Front Office Sports:FOS)は、ニュースレターが急成長し、業界関係者以外のオーディエンスを獲得したおかげで、8月に過去最高の売上を記録する見込みだ。1990年代後半に創業した老舗スポーツビジネスパブリッシャーのスポーツ・ビジネス・ジャーナル(Sports Business Journal:SBJ)はカンファレンスをバーチャルに移行し、収益を安定させるため有料会員限定カンファレンスも新設した。
スポーティコのCEO、ディック・グローバー氏によると、もともと同メディアは「すべてのスポーツの合流点(米4大スポーツ開催が重なるタイミング)」である9月に始動する予定だったが、スポーツチームの再開に向けた努力を報じるため、6月30日に繰り上げることに決めたと説明している。
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機会を窺うスポーツビジネスメディア
当初、スポーティコのチームはグローバー氏と編集長のスコット・ソシュニック氏の2人だったが、現在では12人のライターと3人の編集者が働いている。立ち上げの数日前、ブランド開発・パートナーシップの責任者としてトッド・バリッシュ氏を迎えた。バリッシュ氏は唯一の営業担当者で、ペンスキー・メディアの業務部門との連携も担当している。
「ペンスキー・メディアのリソースや専門知識なしに、独立した企業として運営することは不可能だった」とグローバー氏は説明する。同氏によれば、現在のところ収益源は直接販売広告のみで、評判とオーディエンスの信頼性を確立しブランドに売り込むことが目標だという。ターゲットオーディエンスは大学レベルからプロリーグの経営幹部まで、スポーツビジネスに携わる「大物」たちだと、グローバー氏は述べている。「ターゲットは肩書にCが付く人々だ」。
一方、FOSのターゲットはプロのオーディエンスだけではないと、ホワイト氏は述べている。ホワイト氏はFOSをB2Bメディアに分類しておらず、スポーツ業界のプロにとって面白いだけでなく、幅広い消費者基盤にアピールする形で業界について報じる「プロシューマーメディアブランド」を自称している。
ライブスポーツが中断された後、スポーツとのつながりを維持するため、より多くの人がスポーツの「場外」ビジネスに注目するようになったと、ホワイト氏は分析する。同氏は詳細を明かしていないが、第2四半期FOSの売上は打撃を受けたと述べている。
「我々はパンデミックに顔面を殴られた」。しかし、その間、「ソーシャルメディアとニュースレターの強化」に注力したという。スポーツのテレビ中継がなくなり、情報を求めるスポーツファンがFOSに押し寄せてくることをわかっていたためだ。その結果、ニュースレターのアクティブ購読者数が前月比28%増を記録したとホワイト氏は話す。さらに、この「場外」時間をウェブサイトのリブランディングに使い、従業員を5人追加。この8月にウェブサイトを刷新した。
収益源の模索が続く
有料会員による購読売上があるSBJも、広告売上では新型コロナウイルスの影響を受けた。ただし、発行人とエグゼクティブエディターを兼任するエイブラハム・マドクール氏は詳細に言及していない。
SBJは3月以降、エディトリアルコンテンツを増強しカンファレンス事業をバーチャルに移行している。2020年は13のリアルイベントを計画していたがすべてがバーチャルに変更され、さらに、有料会員限定のカンファレンスを含む5つのバーチャルカンファレンスも追加された。
マドクール氏によれば、予算内で実施したこうした強化のおかげで購読者数はデジタル、紙面ともに一定水準に保たれており、サブスクリプションサービスとして展開するSBJデイリー(SBJ Daily)は目標を上回る数字をたたき出しているという。
FOSのホワイト氏もスポーティコのグローバー氏もメンバーシップ、サブスクリプションモデルにチャンスを見いだしているが、両社はいずれも当面は広告モデルを維持する予定だ。
ホワイト氏は「我々が目指しているのは、ポリティコ(Politico)が政治の世界でおこなったことをスポーツの世界でおこなうことだ」と話す。「つまり、マスオーディエンスを獲得し、マスオーディエンス向けの有料製品を開発し、高い料金を請求することだ」。そして、マスオーディエンスを蓄積するには、ペイウォールを設定しないことが極めて重要だとホワイト氏は断言する。
スポーツビジネスに関心を寄せるブランド
SBJのマドクール氏は広告売上について、売上そのものは減少しているが、新しい広告主は獲得できていると述べている。ただしFOSと異なりSBJのクライアントはB2Bのカテゴリーに限定されており、そのなかでもスポーツの再開を支援する新興ブランドが目立つという。
スポーツエージェントテクノロジー企業エージェント・ライブ360(Agent Live 360)は7月、SBJのサイトに初めて広告を出した。CEOのトレバー・スウェンソン氏は、CESをはじめとするリアルカンファレンスのほとんどが中止された今こそ、「SBJに製品広告を出すことが対面での売り込みに比べ、どれくらい効果があるかを試す絶好の機会だ」と話す。
「バナー広告は最高の選択ではないが、デジタルマーケティングを増やしていくしか選択肢はない」とスウェンソン氏は述べ、SBJはスポーツエージェントのオーディエンスがもっとも多いと補足した。
ホワイト氏によれば、FOSはB2Bの広告主だけでなく消費者ブランドにも営業をかけ、平均世帯年収10万~15万ドル(約1100万〜1600万円)のオーディエンスを売り込んでいるという。「現代的な新しいビジネスリーダー」とホワイト氏は表現し、消費者ブランドのターゲット層と共通する点が多いと説明した。FOSは最近、サムスン(Samsung)、ボーズ(Bose)、アンハイザー・ブッシュ(Anheuser-Busch)といったブランドと立て続けに契約している。
メディアエージェンシーのハバスメディア(Havas Media)で戦略的投資部門のシニアバイスプレジデントを務めるジェフ・ギャグニー氏によれば、ブランドがスポーツに広告を出したいと思う理由は、スポーツに「ほかのメディアとは比べものにならないドラマ」があること、盛り上がりのなかの小休止において、広告のメッセージが人々に伝わりやすいことだという。
スポーツが再開されたとき、この事実はスポーツビジネスジャーナリズムにとっての試練となるだろう。「スポーツビジネスメディアが隙間を埋め、(スポーツ)オーディエンスの一部、うまくいけば大部分にリーチすることは可能だ。しかし、実際のスポーツと同じ興奮をもたらすことはできない」。
KAYLEIGH BARBER(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:分島 翔平)
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August 18, 2020 at 02:50PM
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