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光を求めて 高校スポーツの今>(下)「見ている」スカウトがエール 電話・映像で才能発掘:スポーツ(TOKYO Web) - 東京新聞

高校時代のJ1川崎・大島僚太(左)=2011年1月3日、ニッパツ三ツ沢球技場で

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 スカウト担当16年というサッカーJ1川崎の向島建氏は電話口で、在宅勤務が続く現状を冗談ぽくこう明かす。「例年なら、久々に家に帰ってくると犬にほえられたりする。でも今は懐いている」

 Jリーグ各クラブのスカウト担当にとってこの時期は、各地を飛び回って高校年代や大学の各種大会を視察し、有望選手を追う時期。だが感染拡大で全国的に活動がストップ。Jのユースや全国高等学校体育連盟(高体連)加盟の強豪で争うプレミアリーグや、プリンスリーグは開幕が延期に。とくに春先は、多くのチームが集まり試合が組まれるフェスティバルと呼ばれる大会が各地で予定されていた。

 全国56に拡大したJクラブはユースなど下部組織が充実し、自前で育成した選手をいかにトップチームに引き上げるかがある。一方で向島氏は「ユースにはなかなかいない(タイプの)選手を獲得にいくケースもある」と、高校や大学チームにも目を向けてきた。コロナ禍は、多くの選手の活躍の場を奪う。「グンと成長する選手も多いだけに本当にかわいそうな状況」

 近年はJクラブの新加入が、高校2年や大学3年時に内定するケースが多い。高校や大学に登録したままJの公式戦に出場できる「特別指定選手」の条件に「当該受け入れ先にプロ加入が内定している」が加わったことが影響する。今年もすでに、新高校3年生の2021年加入内定を発表したクラブがある。ただコロナ禍が長引けばこの先、「金の卵」をどう見つけ、追いかけていけるのか。

 J1湘南が下部組織入りを目指す小学生を対象に動画投稿を募集し、話題になったが、J1鹿島の椎本邦一スカウトは「今は電話で高校の監督と話をしている。培ってきた情報網と、自分たちの目を信じる」。J2大宮の朴海剛スカウトは「(高校生は)大学進学との兼ね合いもある。しっかり情報を見極め、可能であれば(時期を)引っ張ってでも有望な選手を見たい」。

 川崎ではかつてこんなケースがあった。秋ごろ、向島氏が見に行った高校年代の大会で「光ったものがあった。こういう選手がいたことをなぜ把握できなかったんだ」と加入につなげたのが、日本代表にも入った川崎の中心的選手、大島僚太だ。向島氏は「そういう選手もいる。チーム状況もあると思うが、スカウト陣は活動が再開したら相当な試合数を見に行く」とプロへの道を諦めないでほしいと願う。

 プロ野球のスカウトも未曽有の状況に頭を抱える。本来は、春の選抜大会から各地の春季大会など幅広く足を運ぶ時季だが、「現場」から白球を追う球児の姿は消えた。西武は4月4日に現場でのスカウト活動を全面的に取りやめた。球団の編成トップを務める潮崎哲也氏は「選手の映像を見るなど今できることを行っている」。新たな人材発掘はできないが、スカウト陣が既に集めた資料を改めて見直すことで次なる戦略を練る。

今季ロッテに入団した大船渡高・佐々木朗希が登板した練習試合を視察するプロ野球のスカウトら=2019年6月2日、岩手県一関市で

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 選手の現在地を知ることはできない。実戦離れを懸念する声も上がる。ただ、潮崎氏は「高校生の場合は試合で打った、打たなかったというのが重要ではない。ポテンシャルの高さを重要視するようにしている」と不安をかき消すように言葉を並べた。

 「高い志をもって頑張ってほしい。だから今できることをしっかりやってほしい」。「魔球」と呼ばれたシンカーを操りプロ球界の一線で活躍したかつての右腕は、耐え忍ぶ今の球児たちにエールを送り、こう語り掛ける。「われわれスカウト活動をする人間も、皆さんのことを見ています」

 (上條憲也、唐沢裕亮、対比地貴浩)

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May 04, 2020 at 05:37AM
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