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なぜマイナカードが条件なのか? ネット申し込みできる電車乗車券の障害者割引 JR東日本「国からのご指導」:東京 ... - 東京新聞

 JR東日本とJR西日本は来年、障害者割引を適用した乗車券をネットで申し込めるサービスを始める予定だ。窓口で障害者手帳を見せる必要がなくなり、利便性が増すようにも思える。ただ、利用の前提として、障害の情報が入ったマイナンバーカードをマイナポータルへ登録しなくてはならない。自力でのマイナカード取得が困難な障害者もいる中、本当に利用者本位のサービスなのか。(宮畑譲)

◆JR東海はマイナカード不要なのに

 このサービスは障害者割引が適用される乗車券のほか、新幹線などの特急券をネットで申し込める。駅の券売機で発券を受けなくてはならないが、窓口で並ぶ時間を省ける。来春までにスタートする見通しだ。

 ただし、マイナカードの登録が利用条件とされたため、申請作業が困難でカードを持てない人や、障害情報の入ったカードを持ちたくない人は、使えないサービスということになる。

障害者割引のネット申し込みを説明するJR東日本のニュースリリースの一部。マイナカードの登録が必要と明記されている

障害者割引のネット申し込みを説明するJR東日本のニュースリリースの一部。マイナカードの登録が必要と明記されている

 「マイナカードを取得できない障害者もいるのに、取得が前提で社会が進んでいる。そういった仕組みが事業者で広がっていくと、排除されている感じがする」。全国の障害者やその家族らで構成する「障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会」の家平悟事務局長が話す。

 家平氏によると、顔写真の背後にヘッドレストが写っていたことなどが理由で、カードの申請自体が却下された障害者もいるという。「本来は障害者にとって便利になるサービスのはず。公共交通機関なので、なるべく全ての人が使えるような設計をしてほしい」

 割引をする以上、厳格な身分確認は必要だ。だが例えば、最初に窓口で障害者手帳を提示して会員登録し、その後はカードなしでもネットで手続きできるようにすればよいのではないか。

◆なぜかJR西日本もほぼ同じ回答

 なお、JR東海の新幹線のネット予約では、発券時に駅の窓口で障害者手帳を提示しなければならないが、マイナカードは不要だ。

 「こちら特報部」の取材にJR東日本は「ウェブ完結で購入されたいというニーズにお応えするという制度設計の中でマイナンバーカード、マイナポータルを活用させていただくこととした」と回答。JR西も示し合わせたように、一部を除いて一言一句同じ回答に終始した。

 背景には国の意を酌んだ面もあるようだ。

2021年、国土交通相が「ウェブによる乗車船券等の予約・決済の実現(マイナポータルとの連携を含む)」を指示した。JR東日本は今回のサービスは「国からのご指導を踏まえシステム開発を進めてきた」結果だとする。

◆申請困難な人、障害の情報入りカードを持ちたくない人は?

 しかし、自治体でマイナンバーと障害者手帳情報をひも付ける段階でのミスも相次いだ。同姓同名の別人のマイナンバーに障害者手帳情報をひも付けたり、手順が不適切だった自治体が多数に上ったりした。秘匿性の高いカードの管理は障害者にとってハードルが高いという指摘もある。

JR西日本のニュースリリースの一部。同様にマイナカードの登録が必要と明記されている

JR西日本のニュースリリースの一部。同様にマイナカードの登録が必要と明記されている

 日本障害者協議会の藤井克徳代表は「障害者の多くは低所得だ。鉄道などの交通機関で障害者割引が始まったのは所得保障、現物支給という意味合いがあった。取得できない、したくない障害者もいるマイナカードを条件にするのは、もともとの理念が理解されていないからではないか」と指摘する。さらに、サービスを使える障害者と使えない障害者の間で格差が生じかねない点を問題視する。

 「便利になることはよいが、障害者の間で格差ができる可能性のあるサービスを社会性の高い公共交通機関がつくるのはよいことではない。マイナカードを使わずに同等のサービスを受けられる方法を考えることはできるはずだ」

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