最近、電動自転車を購入しようといろいろ調べていたのですが、一般的なモデルでさえ10万円、20万円するのも珍しくありません。そこまでヘビーには使わないし、もっと安い製品はないものか、と検索していると、「8割引き9割引きは当たり前、北海道から東京への送料無料といった電動自転車を購入したものの詐欺だった……」という詐欺被害に遭った方たちの投稿をSNSやブログサイトなどで見かけました。
メーカー希望小売価格12万6000円が格安でも10万6000円といったネットショップが多い中、9割引きなんかあり得ません。その時点でとても怪しいのですが、だまされて買ってしまい、商品が届かないと嘆いている方もたくさんいました。これは典型的なショッピング詐欺です。
気になったのは、前述の被害者たちは怪しいと感じ、一度は購入したウェブサイトが安全なものかどうか調べていたようです。それでもなぜ引っ掛かってしまい、安心してしまったのでしょうか。
以下、被害者が安全だと判断した理由に挙げていたものの、実際はそうでない点についてまとめました。
1.URLが「https」ではじまっているので安心した
ネット上でやり取りする情報を第三者が盗聴すると内容を再現できることがあります。SSLという暗号技術でウェブブラウザーとサーバーの間のデータのやり取りを暗号化するとこの盗聴を防止できます。
SSLが有効になっているウェブページのURLは「https」で始まるのですが、これはそのウェブサイトが信頼できるとか、詐欺サイトではないということを表していません。単に暗号機能を利用している、というだけなのです。
2:URLがそれっぽかったので安心した
URLがランダムな英数字ならすぐ見破れますが、それっぽい文字列のURLを取得するネット詐欺師もいます。例えば、楽天のURLは「https://www.rakuten.co.jp/」ですが、「https://rakutencojp.com」などと紛らわしいURLになっています。
また、詐欺サイトの多くが「.xyz」のような見慣れないドメインを利用していました。埼玉県警のサイバー犯罪対策課では、このほかに「.top」「.bid」といった見慣れないドメイン名が使われているケースもあるとして注意喚起を行っています。
3.FacebookやInstagramに表示されたので安心した
被害者によっては、FacebookやInstagramに表示された広告から誘導され、購入してしまうケースがありました。大手のSNSプラットフォームに表示されたので、詐欺ではないだろうと思い込んでしまったのです。
これはFacebookとInstagramがきちんと監視しなければならないと思います。しかし、今のところはネット詐欺師でも広告を表示できてしまうので、自分で判断しなければなりません。
4.会社概要がきちんと書かれていたので安心した
ショッピング詐欺を確認するなら会社概要を見るのは基本です。企業名や所在地、電話番号、責任者名を確認しましょう。適当に作った詐欺サイトだとこうした情報が抜けていることが多いです。
しかし、会社概要が書いてあるから安全だと判断してしまうのも早計です。なぜなら、存在しない住所や電話番号などが使われている可能性があるからです。
また、実在する企業の情報を丸ごとコピーするケースもあるのですが、その場合は調べればコピー元である本家の方が上位に表示されるので、詐欺サイトであると気付くことができます。
詐欺サイトにコピーされるような被害が多発している企業なら、ウェブサイトで注意喚起をしていることもあります。今回のショッピング詐欺で似たウェブサイトを作られたショッピングサイトは、何度も関係のない問い合わせが来たようで、繰り返し注意喚起を行ってしいました。
また、詐欺サイトには全体的に日本語で書かれているように見えて、中国語のフォントが混じっているケースもあるので、そういった不審な点も確認するようにしましょう。
お笑いコンビ「ハライチ」の岩井勇気さんも被害に、油断しないように注意
2021年1月にはお笑いコンビ「ハライチ」の岩井勇気さんも、電動自転車のショッピング詐欺に遭い、6万5000円を盗られたことを報告しています。自分だけは大丈夫と思っていても、悪いタイミングで遭遇すると、ころっと信じてしまうものなのです。見破るというより、常に疑ってチェックする癖を付けた方がよいでしょう。
電動自転車のショッピング詐欺で間一髪、被害を回避できたという人は振り込み時に気が付いたケースが多いようでした。ショッピングサイトでクレジットカード決済ができない点や、振り込み先が個人名の場合も注意しましょう。
URLにhttpsが使われているからと信用しない、大手SNSの広告だからと信用しない、それっぽいURLだからと信用しない、という自衛方法も覚えておきましょう。そして、初めて購入するネットショップでは企業概要の厳重チェックを怠らないようにしてください。
あなたの両親も“ネット詐欺”の餌食になっているかもしれません――その最新の手口を広く知ってもらうことで高齢者のデジタルリテラシー向上を図り、ネット詐欺被害の撲滅を目指しましょう。この連載では、「DLIS(デジタルリテラシー向上機構)」に寄せられた情報をもとに、ネット詐欺の被害事例を紹介。対処方法なども解説していきます。
「被害事例に学ぶ、高齢者のためのデジタルリテラシー」の注目記事
高齢者のデジタルリテラシー向上を支援するNPO法人です。媒体への寄稿をはじめ高齢者向けの施設や団体への情報提供、講演などを行っています。もし活動に興味を持っていただけたり、協力していただけそうな方は、「dlisjapan@gmail.com」までご連絡いただければ、最新情報をお送りするようにします。
※ネット詐欺に関する問い合わせが増えています。万が一ネット詐欺に遭ってしまった場合、まずは以下の記事を参考に対処してください
参考:ネット詐欺の被害に遭ってしまったときにやること、やってはいけないこと
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