2020年06月10日08時00分
◇ベルギー戦の悪夢
サッカーで「2-0」のスコアは、リードしている側が危ないとも言われる。2018年ワールドカップ・ロシア大会で、日本が2点を先行しながらベルギーに3点を返され、8強入りの夢を断たれたのは記憶に新しい。真相はどうか。
データスタジアム社が、J1~3のリーグ戦3871試合(15年~19年9月)を調べたところ、2-0の状態が生まれたのは3分の1以上にあたる1337試合。その試合結果を見ると、2点先取したチームの勝利が91.9%、引き分けが5.2%、敗戦はわずか2.9%。データ上は危険どころか、圧倒的に優位なスコアと言える。
日本のサッカー関係者は、精神面の影響が大きいと見る。「2-0が危険という思考こそが危険。点を取られる前提の考え方」。現在はJクラブでスカウトとして活躍する元選手は、格下のチームが陥りやすい現象ではないかと指摘する。さすがに格下でも、3-0であれば精神的に余裕が生まれるが、2-0では「まだ足りない」という心理から追い込まれ、自ら崩れていくという構図だ。
だが、海外の捉え方は違う。留学経験を持つJ2水戸の河野高宏GKコーチは、ベルギー戦後に海外の知人から「日本が逃げ切れなかったのが信じられないと言われた」。長い歴史と戦いの中で試合運びにも豊富な蓄積がある欧州や南米では、3点目がとどめではなく、2-0が勝利同然と認識するスコアのようだ。
日本代表DFの吉田麻也(サンプドリア)は、ベルギー戦の翌日にこう語っている。「2-0になってから無意識に受け身になってしまった」「まだまだ勝ち慣れてない、勝ち切る強さがない」。勝てたはずと思いながら一晩を過ごし、たどり着いた答え。世界での日本の立ち位置を認めざるを得ない結論だった。(時事通信社・前田悠介)
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June 10, 2020 at 06:04AM
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「2-0は危険」こそが危険【スポーツの言葉考】(7) - 時事通信ニュース
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