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独自開発至上主義で「孤立する」日本、IoT競争における逆転戦略はあるのか - ビジネス+IT

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IoT競争で世界に勝つことはできるのか?

(Photo/Getty Images)


独自開発至上主義で孤立する日本

 まずは下の図を見てください。これはIoTプラットフォーム主要ベンダーの注力領域を国別にしたものです。
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国別IoTプラットフォーム主要ベンダの注力領域 (Horizontal)

 日本企業の先行グループは、コマツや三菱電機、ファナック、日立製作所/日立ヴァンタラ、オムロン、Armなどです。

 コマツの建設現場向けIoTプラットフォーム「LANDLOG」とは、建設機械の遠隔監視システムの「KOMTRAX」を刷新したものです。KOMTRAXは接続された約54万機の建機から1日1回データ収集していました。一方、LANDLOGは建機とプラットフォームをリアルタイムで相互接続が可能です。

 ほかにも三菱電機が主導する「Edgecross」やオムロンの「i-BELT)、日立が米国で開発を進めている日立製作所/日立ヴァンタラの「Lumada2.0」が国内外で展開しています。これら国産IoTプラットフォームは、いずれも他社とのアライアンスプログラムを持ちつつ「オープン・クローズ戦略」を執っています。

 一方、外資系企業のプラットフォームを採用しているグループは、ソフトバンク(VANTIQ)やNEC(MindSphere、FIWAREなど)、クオリカ(Bellonica)、ジェイテクト(MindSphere)です。

 そして、注目すべきはエッジに強いオムロン(i-BELT)とクラウドベースのプラットフォーム大手のシーメンス(MindSphere)で業務提携を発表したことです。これは、日本とドイツのプラットフォームベンダが相互補完を狙った戦略的な動きだと言えます。

 翻って独自開発グループも存在します。彼らは従来からの自前主義で、IoTプラットフォームの開発を続けています。筆頭に挙げられるのがNTT各社で、国内ITベンダーや自社製品にこだわるメーカーが名を連ねています。少々キツイ言い方ですが、こうした独自開発至上主義企業は、メディアや行政が喧伝する「GAFAに対する危機感とプラットフォーマーの優位性」を鵜呑みしてしまったのでしょう。

 プラットフォームだけ作っても、アプリケーション(ソフトウェア)がなければ利用者は増えません。「他社製品でも利用できるようにIoTプラットフォームをオープンする」といった柔軟な発想がないので、利用者は限定的です。今どき自社製品にしか対応しないプラットフォームやアプリケーションなど、誰も利用しようとは思わないのですが、頑なに自前主義を推し進めています。

 下の図は前編でも紹介したIoTプラットフォームの主要ベンダ相関図です。ここで他社と連携していないベンダーのプラットフォームは、いずれ消える可能性が高いと思われます。

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IoTプラットフォーム動向/主要ベンダ相関図(2020年3月r2版)

<ベンダー相関図の区分>
・黒枠:IT系ベンダー(一般)
・二重枠緑:ユーザー系ベンダー(本業は製造業)
・破線枠:通信系ベンダー(通信事業者系)
・赤枠:エコシステムを持つユーザー系ベンダー
・色付きベンダー:独自の強みを持ち複数ベンダーと提携する有力ベンダー

 残念ながら日本企業にとっては厳しい状況が続いています。ドイツや中国のように、業種用途で標準となるIoTプラットフォームがまとまっていれば、日本企業も「チーム日本」として対抗することも可能です。しかし、企業ごとにIoTプラットフォームが乱立している状況では、各個撃破される可能性が高いでしょう。

 一方、日本のユーザー企業の動向は外資系企業のプラットフォームを採用するケースが多いようです。あくまでも筆者の認識ですが、MindSphere(シーメンス)やAzure IoT(マイクロソフト)などの導入事例が目立ちます。

ゲームチェンジによる逆転戦略はある…のか?

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 日本企業の強みである「カイゼン」は、デジタル化やイノベーション実現を阻む弊害でもあります。カイゼンによる競争力強化は、市場が安定成長しているときには有効です。しかし、破壊による創造が非連続的に発生する現在の状況では「市場ルールの変更と同時に無効」となる可能性が大きいのです。

 現在では、市場の変化をいち早くキャッチして従来の価値観をリセットし、自社の立ち位置を柔軟に変更する姿勢が求められます。つまり、市場シェアを最大化するためには、これまでのライバル会社や異業種とアライアンスを組んで新しい市場を生み出す必要があります。これが、インダストリー4.0やDX(デジタルトランスフォーメーション)が目指すゴールです。

 デジタル化のポイントは、単純に人(アナログ)をシステムやAI/ロボット(デジタル)に置き換えるのではなく、最小限の人(アナログ)をブラックボックス化し、それ以外の部分をすべてデジタル化して競争力の強化につなげることです。つまり、これまでの強みをデジタル化して「デジタルコア」とし、その周辺に新たな価値を創造していくのです。

 新たな価値創造の区分は、以下の4つに大別できます。

・プロセス改革型…既存の製品やサービスの深化
・秩序破壊型…まったく新しい仕組みの創造
・市場創造型…既存市場からの新製品/サービスの創造
・ビジネス創造型…これまで存在しなかった機能/製品の創造

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日本企業が勝ち残るためのDX施策
 以下に紹介するのは、これら4つを実現する価値創造の具体例です。

● プロセス改革型・ビジネス創造型…建機メーカーのケース
 建設機械メーカーは、建機をスマート化し、リアルタイムで遠隔制御できる仕組みを構築します。この仕組みを都市開発や都市管理のシステムと連携させれば、街のデジタル化や生活空間のデジタル化の一翼を担うことができます。具体的には、防災管理や災害復旧で「どこの地域が、どのような状態なのか」といった情報を素早く提供できるのです。

● 秩序破壊型・市場創造型……自動運転車メーカーのケース
 自動運転車メーカーは、自動運転車などから収集したデータを利用し、荷物の移動や運輸の最適化を図ることができます。また、MaaS(Mobility as a Service)を推進することで、渋滞の速やかな解消にも貢献します。さらに、スマートシティとの連携で、快適な都市サービスを担う役割を果たすことが可能となります。

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DXステージ :建設機械と自動運転車のケース(参考例)

【次ページ】箱根駅伝のイメージで世界に勝つ!

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