2020年03月31日08時02分
「100年に1度」と言われる変革の波が押し寄せる自動車業界が、次世代通信規格「5G」に熱い視線を注いでいる。近年普及が進むコネクテッドカー(つながる車)は、ネットワークへの接続機能や大量のセンサー類を搭載し、走行しながら膨大なデータを収集・処理する情報端末の性格を持つ。高速・大容量が特長の5G通信を使えばさらなる進化につながるため、異業種も交えた技術開発が活発化している。
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◇運転手不足を解消
高速道路を連なって走る3台のトラック。それぞれが10メートルずつの車間距離を保ち、時速80キロで走る先頭車両を追い掛けている。
ソフトバンクが2020年2月末に実施した隊列走行実験の様子だ。車同士が位置や速度などの情報を送り合い、ぶつかったり離れ過ぎたりしないように自動で制御して、連結した1台の車両のように動く。
隊列走行のカギは、通信の遅れが小さい5G技術が握る。従来の4G通信では、データ送信に最大0.1秒の遅れが生じ、時速80キロで走る車はこの間に2.2メートル進む。一方、5Gの遅延は0.001秒に過ぎず、80キロ走行時のずれは2.2センチと精密な制御が実現する。
車間距離が2メートルに縮まれば、後続車の空気抵抗が減って燃費が25%も改善するという。今は各車両に人が乗る必要があるが、同社先端技術開発本部の吉野仁担当部長は「後続車の人が不要になれば、人口減少による運転手不足が解消する」と意義を強調した。
◇車が仮想空間に
日産自動車とNTTドコモは、5G回線を使い、遠隔地にいる人のアバター(分身)を同乗者のように運転手らの視界に映し出す技術の開発を始めた。将来的に完全自動運転が普及すれば、人間は運転から解放され、車は移動する個室のような空間に変わる。車内の時間を快適にするのが開発の狙いだ。
車内の人がゴーグル型端末を着用すれば、遠くで同様の端末を身に付けた家族や友人が、仮想キャラクターに扮(ふん)した3D映像となって助手席などに「出現」。5G回線を経由し、時間のずれがない会話を楽しめる。
遠隔地側のゴーグル型端末は、車内外のカメラ映像を合成したドライブ中の風景を映し出す。足が不自由な高齢者が、自宅にいながら孫とドライブを満喫する仮想現実(VR)を体験できる。
日産は30年代の実用化を目指している。日産総合研究所の上田哲郎エキスパートリーダーは「車をコミュニケーションを加速するブースに変えたい」と話している。
他の自動車メーカーも、5G通信を安全運転の支援に使うことなどを想定して研究を進めている。例えば、標識や信号機といった道路インフラと車両が通信し、見通しが悪い交差点での事故を防ぐことなどが考えられるという。各社は5G通信のインフラ整備を見据えながら、新技術の実用化を探る考えだ。
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March 31, 2020 at 06:06AM
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つながる車、5Gで進化 異業種交え開発競争―車列を制御、助手席に「分身」 - 時事通信ニュース
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