2020年03月29日09時00分
◆ゴルフジャーナリスト・舩越 園子◆
昨今の米ゴルフ界では、29歳の米国人選手、パトリック・リードに対する批判がかまびすしい。
リードは今年2月、世界選手権シリーズのメキシコ選手権を制し、米ツアー通算8勝目を挙げたばかり。その戦績が彼の才能を物語っている。
それなのに、なぜ批判が起こっているのか。その始まりは、彼がメジャー初制覇を遂げた2018年マスターズにさかのぼる。
◆ことあるごとに「悪者」
リードが優勝争いに絡み始めたころ、彼の高校・大学時代に起こった幾つかの騒動やプロ入り後のロッカールームでの出来事など、さまざまな「彼の過去」が突然、米メディアによって記事化され、次々に出回った。
なぜ、リードが優勝に迫り始めたタイミングで中傷的、批判的な記事が、一斉に発信されたのかは分からない。
だが、どれも根拠に乏しいと感じられたため、あの時、私は、四面楚歌(そか)で勝利を挙げた彼に敬意を表し、「リードよ、胸を張れ」と書いた。
だが、言うまでもなく、私が送ったエールは「焼け石に水」にすぎなかった。
その後も、ことあるごとに、リードは「悪者」として描かれ続けてきたが、あのマスターズの時のような激しい批判は起こらなかった。
しかし、昨年12月、ヒーロー・ワールド・チャレンジでリードがバンカー内でボールの手前の砂をウエッジのソール(底部分)で押し払っている動画が出回ったことで、リード批判が一気に再燃した。
リードの行為は「ライの改善」というルール違反ゆえ、2罰打を科せられた。だが、それでも彼は「意図的ではない。カメラアングルのせいで、そう見えただけ」と言い訳をしたため、批判はさらに激化した。
以後は、どの試合でも観衆から激しい野次がリードに投げつけられた。あるTVレポーターが「リードのルール違反をこの目で目撃したのは少なくとも4度はあった」と語ったことで、リード批判は一層激しくなっていった。
◆批判されても優勝
しかし、そんな批判の嵐の中にありながら、リードは2月のメキシコ選手権を堂々と制し、優勝トロフィーを掲げたのだ。
なんであれ、勝ちは勝ちだ。米メディアも、優勝者を全否定するわけにはいかなくなり、精いっぱいの皮肉を込めた「批判調」でリード優勝を報じていた。
だが、もはや子どものけんかのようで、大人げない記述も多く見られた。
ある米国人のベテラン記者は、リードが14年に当時の世界選手権シリーズのキャデラック選手権を制し、デビュー2年目にして通算3勝目を挙げた際の彼の優勝コメントを引き合いに出していた。
ジュニア、大学時代、そしてプロ転向後も次々に勝利を重ねたリードは「タイガー・ウッズと僕以外には、こんなスピード出世は成し得ていない。僕がやってきたことは正しい、僕は正しいと信じている。だって僕は世界のトップ5なのだからね」と言い放った。
6年前のリードのこの言葉を改めて示した上で、その記者は「あの時、リードの世界ランキングは5位どころか、20位だった」と指摘。
そして「リードは理想を現実だと思い込み、無意識に失礼な言動を取る」「リードは世界中が敵に回り、最悪の状況に陥ったときに、最高のパフォーマンスを披露できるタイプのプレーヤーだ。彼はそういう才能にあふれている」と、嫌味を込めた褒め言葉をつづっていた。
◆定かでない真偽
だが、その記事の締めくくりは小粋だった。
「そう、彼は才能にあふれている。だけど、今でもトップ5ではないんだけどね」
思わず、クスッと笑ってしまった。「トップ5」をフックにした文章構成に、同じ書き手として「うまい!」とうならされた。
リードにまつわるさまざまな出来事は、真偽のほどが定かではない、グレーな話が実に多い。だが、ランキングという動かぬ事実に基づいた指摘なら、「なるほどね」と誰もがうなずける。
そして、ほどよくエスプリの利いた記事を書いたこの米国人記者も、なかなかの才能あふれるお方である。
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March 29, 2020 at 07:07AM
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