<ウイルスと闘う世界の国から(10)イタリア>
私の住むミラノ、イタリア北部のロンバルディア州では、外出が禁止されてから、もう3週間ほどになります。感染者、死者ともにイタリアでは最も多い地域です。ほとんどの人が、買い物などを除き、家から1歩も出ておらず、ゴーストタウンのようです。私の州では少なくとも、4月15日まではこの外出禁止が続くようです。
ここ1週間は、食料品店などを除き、ほぼ全ての店が閉まっています。食料や薬を買うために外に出ることはできますが、決められた書面を持ち歩く必要があります。個人情報、感染者ではないこと、目的、出発と目的地点など詳細を記入し、署名が必要です。理由のない外出については、警察の取り締まりが厳しくなり、罰金も段階的ですが、今は最高で3000ユーロ(約36万円)と高額です。
商品はありますが、スーパーは入場制限がかかっています。昨日は入店に1時間ほど並びました。前後の人と1メートル以上の間隔をとって並び、体温を測り、渡された手袋をして買い物します。
感染者が多く、集中治療室(ICU)のベッドが足りず、火葬も間に合わない状況だと報じられています。日本もイタリアも高齢者が多いなど、似たような点があるにもかかわらず、日本の方が圧倒的に感染者が少ないようです。もちろん、少ないのはいいことですが、正直言って日本の状況は、本当に不思議です。
セリエAの選手にもたくさん感染者が出ました。スポーツが完全になくなって2週間以上がたちます。ただ、日本でもサッカーが好きな皆さんならご存じのスポーツ新聞、ガゼッタ・デロ・スポルトなどは、今も変わらず、サッカーの話題を扱っています。試合がなくても、セリエAが再開されるのかどうかといった話題にページを割き毎日、サッカーの話題を載せています。
ここ数日は感染者が減っているようです。ただ、感染は本当に身近なことです。私は年齢も30代で、もし仮に感染して症状が出ても、生存率は高いとされており、死の危機感を感じているかといえば、そうではありません。ただ、両親や友人に感染させてしまった場合、どうなるのかといった不安、怖さは常にあります。さらに、簡単には治療を受けられない怖さも。普段は陽気なイタリア人も、当然、暗い雰囲気です。少なくとも5月くらいまではこの状況が続くだろうと覚悟しています。(ミラノ在住=市塚裕大さん)おわり
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March 31, 2020 at 08:00AM
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