政府は節電に協力した家庭にポイントを付与し、電気料金を実質的に下げる電力各社のサービスの利用を促す支援策を講じる。一部の電力会社が実施しているが、普及していない。物価高による家計や企業の経済活動への影響を抑え、夏と冬の厳しい電力需給の改善にもつなげる。
21日に首相官邸で物価・賃金・生活総合対策本部の初会合を開き、本部長の岸田文雄首相は「効率化に応じて幅広く利用できるポイントの付与や、事業者の節電分を買い取る制度で実質的に電気代負担を軽減する」と述べた。
電力会社の要請に応じて電力消費を減らし、対価を受け取るサービスは「デマンドレスポンス(DR)」と呼ぶ。一部の電力小売りはすでに同サービスを導入しており、官民で連携して普及拡大をめざす。
東京電力ホールディングスと中部電力は7月に始める。電力不足が予想される場合に前もって協力を要請し、家庭の節電量に応じてポイントをつける。1キロワット時を節電した場合、東電は5円相当を、中部電は10円相当を付与する。
東電では「Tポイント」や「Pontaポイント」「nanacoポイント」などに交換でき、買い物で使えるようにする。目標は3%の節電で、月260キロワット時を使うモデル世帯に当てはめると、月数十円ほどの還元となる。
DRは企業向けで先行していた。3月22日に東電管内で電力需給が逼迫した際、鉄鋼や化学などで計325万キロワット時の電力消費量の抑制につなげた。政府は企業向けのDRも後押しする。開始時期など詳細は検討中で、経済産業省内には電力会社が実施するDRのポイントや割り引きを資金支援する案がある。
政府は7月から9月までの間の節電要請を実施している。要請は7年ぶり。DRは電力利用の抑制を促すことになり、需給の改善につながる。
ただ、7月を間近に控え、大がかりな支援策を展開するのは時間的に難しい。経産省内からは「政府の支援策は本番の冬に向けたものだ」といった声が聞かれる。
政府が今回打ち出した物価高対策は、食料品にも及ぶ。農産品全般の生産コストの1割削減をめざして新たな支援金の仕組みをつくる。地方自治体が物価高の影響を受ける家庭や中小企業を支援する際の財源となる地方創生臨時交付金について、必要に応じて増額を検討する。
2021年から資源価格の高騰は続き、ロシアによるウクライナ侵攻が追い打ちをかけた。円安も進み、4月の消費者物価指数は変動の大きい生鮮食品を除く総合指数が前年同月比で2.1%上昇。消費増税の影響があった15年3月以来、2%台にのせた。主にエネルギーが全体を押し上げる。
内閣府によると、各国の消費者物価の上昇率(総合、4~5月)は米国で8.6%、ユーロ圏で8.1%、韓国で5.4%となっている。世界的にみれば日本の上昇率は低いものの、参院選を前に世論の関心は高い。
もっとも、市場価格の上昇を補助金で抑え込むには限界がある。ガソリン補助金も1リットルあたり40円を超えるまでに拡大した。支援を打ち切るのが難しくなり、市場のゆがみも大きくなる。
物価高への対策は賃上げが有効となる。首相は「継続的な賃上げをめざす」と訴えた。生産性や成長力を高める政策が求められる。
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