世界に羽ばたく先輩たちも、中学生では届かなかった表彰台の頂点に立った。今月1日の札幌市長杯大倉山サマージャンプ大会。中高生11人が出場した男子少年で、坂野旭飛(札幌栄南中3年)が唯一100メートル越えを2本そろえ大会史上初の中学生王者になった。06年トリノオリンピック(五輪)代表の伊藤謙司郎、14年ソチ五輪団体銅メダルの清水礼留飛は中学時代の最高成績は2位。18-19年ワールドカップ(W杯)個人総合覇者の小林陵侑が男子少年を2連覇したのも、岩手・盛岡中央高のときだった。

父はW杯にも出場した元雪印のジャンパーの幸夫さん(44)。幼少期から母に連れられてジャンプ台に足を運び、声援を送った。「かっこよかった父を超えたい」。札幌栄南小2年で競技を始めて以来、札幌ジャンプスポーツ少年団のコーチを務める幸夫さんから指導を受けてきた。

札幌栄南中に進むと、全国中学で1、2年生で連続3位。昨季に初めて全日本連盟の強化指定を受けると、今季も道内男子中学生でただ1人選ばれた。今季は中学日本一を目標に掲げつつ「世界やW杯に出る選手に追いつけるような技術やメンタルを鍛えたい」と先のステージを見据える。

新型コロナウイルスの影響で練習が制限された2~6月の間に身長は8センチ伸び170センチに。「スキーの板が2回変わりました」。急激な体の変化にも、陸上トレや筋トレで体幹を鍛え「あまり影響はない。板が長くなって良かった」と意に介さない。

地元札幌市が30年の招致を目指す冬季五輪は24歳で迎える。「五輪で優勝するのはもちろん、(W杯や世界選手権などで)世界のてっぺんに立ちたい」。朝日に向かって飛んで欲しいとの願いが込められているという「旭飛」の名前のように、来る日も来る日も夢に向かって飛び続ける。【浅水友輝】

◆坂野旭飛(さかの・あさひ)2005年(平17)8月13日、札幌市生まれ。札幌栄南小2年で競技を始めた。同5年から札幌栄南中3年夏までは体操も並行。全国中学では1、2年で3位。今年2月の雪印メグミルク杯ジュニア部門優勝。今年のサマージャンプはジュニア部門5戦中4戦で優勝(うち1回は失格)。憧れの選手は伊東大貴。170センチ、55キロ。家族は両親と妹。