米国では中西部などを中心に新型コロナの新規感染者や入院患者が増加している(ウィスコンシン州の病院)=ロイター
【ニューヨーク=白岩ひおな】新型コロナウイルスの感染拡大が続く米国で、各州など自治体が市民の経済活動を制限する独自の措置を相次いで導入している。厳しいロックダウン(都市封鎖)後に正常化を目指していたが、感染の再拡大に直面し、制限措置への回帰を余儀なくされている。
米国では感染の再拡大が鮮明だ。ロイター通信によると過去7日間の新規感染者数は約50万人に上り、コロナによる入院患者数は28日、中西部や西部など13州で過去最多の水準に達した。
感染増が目立つ地域では市民の行動制限を取り入れ、感染の広がりを食い止めようとしている。中西部イリノイ州ではシカゴが30日からバーやレストランでの屋内飲食を禁止し、集会人数も25人までに制限する。同州は新規感染者の増加を受け、州内の11地域のうち7地域で新たな制限措置を導入した。
ウィスコンシン州は市民に外出自粛や集会の中止を呼びかけている。西部コロラド州デンバーは飲食店の営業や集会制限を強化したほか、州が市内の学校に授業をオンラインのみかオンラインとの併用とするよう求めた。
南部テキサス州エルパソでは入院者数の増加を踏まえ、25日に外出禁止令を発令した。午後10時から朝5時まで外出を禁じる。東部ニュージャージー州最大の都市ニューアークは、27日から薬局やスーパーなどを除き、営業時間を午後8時までとした。北西部アイダホ州は26日に、50人以上の屋内集会を禁止し、屋外集会は収容人数の25%に制限すると発表した。
国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は米CNBCのインタビューで、全米47州で感染者が増加し、病院は患者であふれていると指摘。「状況がこれまでと変わらなければ、新規感染者や入院患者、死者(の増加)で多大な苦痛に襲われることになる」と語った。
感染が急拡大している地域の多くは11月3日に迫る大統領選の激戦州とも重なり、新型コロナ対策はトランプ大統領とバイデン前副大統領の政治的な争点の一つとなっている。メドウズ大統領首席補佐官は近くワクチンが開発されるとした上で「長期的なロックダウン(都市封鎖)や外出禁止がうまく行かないことは分かっている」と述べた。
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