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検証「安倍政治」 教育改革 競争疲れに目を向けて - 東京新聞

 安倍晋三首相は、第一次、二次政権ともに「教育再生」を掲げる諮問機関をつくるなどして、官邸発の教育改革を推し進めてきた。

 そこには二つの流れが存在した。一つの流れは復古的、保守的な方向に向かった。二〇〇六年には教育基本法を改正。教育の目標に「愛国心」を盛り込んだ。

 いじめ対策などを理由に、それまで教科外の活動だった道徳も教科となった。戦前の軍国主義教育の反省から、戦後教育では国の基準に沿って作られた教科書に基づき、心を評価することになる教科化を避けてきた。第一次政権では見送られたが、二次政権下で実現に至った。

 もう一つは競争によって質の向上を図ろうとする流れだ。全国学力テストを実施する方針は政権発足以前から固まっていたが、教育再生会議の提言であらためて学力向上策として位置付けられた。

 民主党政権時代に抽出調査となったが、第二次安倍政権で再び全校調査となった。当初は都道府県別のみの成績公表だったが、今は自治体の判断で学校別の公表も可能となり、教育現場が感じる圧力は強まっている。

 採点などで税金が流れ込む先は民間の教育産業だ。民間に委ねる構図は、英語民間試験を大学入学共通テストに導入する大学入試改革に行き着いた。

 二つの流れには共通する底流があるように思う。要は「安上がり」なのではないか。本来は、教員を増やして、子どもに目が行き届くようにすることが、学力向上やいじめの早期発見などにもつながるはずだ。しかし、それには予算が必要となる。経済協力開発機構(OECD)の調査では、日本の政府総支出に占める教育支出の割合は減少傾向で加盟国平均を下回っている。

 小中学校では、学力テスト対策に時間や教員の労力が費やされ、疲弊している。国立大学も、運営費交付金が削減されたり、競争して獲得する部分が徐々に増えたりしている。若い研究者の正規雇用がままならず、研究力の低下が懸念されている。

 大学入試改革は昨年、高校校長や高校生たちの見直しを求める声もあり、英語民間試験導入が見送られた。現場の疲弊に目を向け仕切り直しをする時期が来ているのではないか。先行き不透明な時代だからこそ、未来への投資を惜しむべきではない。

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September 08, 2020 at 05:43AM
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