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誤用の横綱「王手」「逆王手」 【スポーツの言葉考】(29) - 時事通信ニュース

2020年08月26日08時00分

リオデジャネイロ五輪レスリング女子53キロ級決勝で戦う吉田沙保里(手前)。準決勝に勝って「五輪4連覇に王手」と書かれた=2016年8月18日、ブラジル・リオデジャネイロ

リオデジャネイロ五輪レスリング女子53キロ級決勝で戦う吉田沙保里(手前)。準決勝に勝って「五輪4連覇に王手」と書かれた=2016年8月18日、ブラジル・リオデジャネイロ

◇藤井二冠もびっくり?

【特集】スポーツの言葉考

 先週は藤井聡太二冠の快挙が大きな話題になった。「飛車角落ち」「布石を打つ」など将棋、囲碁から一般に広まり、スポーツの記事にもよく使われる言葉があるが、藤井二冠も驚くような横綱級の誤用が「王手」だ。

 最も広く知られている本来の意味に基づけば、7戦先勝制で先に3勝目を挙げた時や、リーグ戦で2位以下に差をつけ、あと1勝で優勝となった状況などで使う言葉だが、今やトーナメントで決勝へ進んだ時にも使われる。相手も同じ立場なのに。

 通算199勝目を挙げた投手が200勝に「王手」をかけたと書くのはいいとして、1試合の中で単打、二塁打、本塁打を打った選手がサイクル安打に「王手」をかけたと書く。三塁打が最も出にくいのに。

 さらに、2勝3敗と追い込まれたチームが勝ってタイで最終戦に持ち込んだら「逆王手」ともいう。追う者の強みがあるとはいえ、相手の「王手」から逃れたわけではないのに。

 もはや、スポーツでは状況や内容に関係なく「あと1」なら全て「王手」とする使い方が、許容されている感がある。

 毎年、文化庁が行う「国語に関する世論調査」の結果が報道され、誤用や混用が広まった言葉が取り上げられる。とりわけスポーツ記事には、表現がオーバーになるうちに誤用や混用が広まった言葉が少なくない。中には目くじら立てなくてもいいものや手遅れのものもある。

 ただ、トーナメントや相星決戦で使う「王手」「逆王手」は選手に無用の重圧を掛けかねないし、相手を侮辱している。「言葉は時代とともに変わるものだから」で済まされていいのだろうか。感動も興奮も結構だが、公平・公正や的確な状況説明が土台にあってこそではないかと、自戒を込めて思う。(時事通信社・若林哲治)

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August 26, 2020 at 06:00AM
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