「栄養のプロ」の公認スポーツ栄養士が、東京五輪・パラリンピックを目指すアスリートたちの食生活を支えている。東京大会の延期や新型コロナウイルスの感染拡大で仕事のキャンセルが相次ぎ苦境に陥りながらも、コロナの影響で練習が制限された選手への指導を手探りで続ける。
公認スポーツ栄養士は、日本栄養士会と日本スポーツ協会の共同認定による資格で2008年から育成がスタート。当初20人程度だったが徐々に増え、現在は約370人が全国で活動している。
「高校、大学の部活や新入社員向けの講演活動が一切なくなり、収入は約3割減った」。公認スポーツ栄養士で、プロ野球阪神やバレーボールVリーグ女子JTの栄養サポートを担当する吉谷佳代さん(41)=兵庫県芦屋市=は、3月以降の状況をこう振り返る。
フリーで非常勤の吉谷さんはチームへの出入りを制限され、選手に直接会えない時期も。個別に食事の写真を確認するなどして遠隔で指導したが、対面だからこそ引き出せる情報もあり、意思疎通にもどかしさを感じたことがあったという。
東京五輪では自転車競技で選手向けの献立作りをサポート予定だった。来年夏に延期された大会で手伝うかどうかは白紙状態だが、JTにも芥川愛加選手ら日本代表が所属する。「選手が食事で困らないようにブログで料理情報を発信するなどして支え続ける。五輪にも関わりたい」と意気込んだ。
日本スポーツ栄養協会が行ったアンケートによると、東京大会の延期で公認スポーツ栄養士の約4割が「仕事への影響があった」と回答。コロナ禍の自粛生活もあり、栄養指導を「通常通り行っている」のは1割にとどまり、半数以上が「できていない、滞っている」とした。収入減を訴えるコメントも目立った。
同協会は会員らに対し、LINE(ライン)などを使った遠隔指導の仕組みを活用し、料金も設定するようアドバイスしている。
東京五輪の選手村で提供する飲食物について助言する委員会で副座長を務めた鈴木志保子理事長(55)は「企業の業績が悪くなると真っ先に見直されるのはスポーツの分野。栄養士に契約解除や雇い止めがあれば、他の仕事を紹介するなどして支えたい」としている。
〔共同〕
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July 25, 2020 at 07:41AM
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五輪へスポーツ栄養士、選手支える 指導継続 - 日本経済新聞
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